アクチュアリーとは

 「保険数理士」「保険数理人」などと訳されることもあるが、保険計理人と紛らわしいため、「アクチュアリー」とそのまま呼ぶことが多い。
 歴史的には、アクチュアリーという職業が成立したのは生命保険分野からとされ、発祥の地は英国であるとされる。国ごとにアクチュアリーの状況は大きく異なる。日本では、アクチュアリー団体に所属している者をもって「アクチュアリー」と呼ばれている。まずアクチュアリーの準会員になるのに約5年、正会員になるのに約8年程度が必要とされ、平成24年3月末時点で準会員数は934名、正会員数は1,330名である。それに対して、米国では平成15年時点で正会員が約1万名で日本の約10倍に及ぶ。いずれにせよ弁護士や会計士と比べると圧倒的に人数が少ない専門職である。
 アクチュアリーは、大学において数学や統計学を専攻した人の割合が高かったが、近年の関連領域の広がりに応じ、その他の専攻領域の出身者も増加している。

 ※ 日本アクチュアリー会のホームページ(抜粋)より
  英字で書くとactuaryでactually(実は、実際)ではない。
 ※ ネクスティア生命の山内恒人氏の解説は次の通り。

 すなわち、アクチュアリーとは、生命保険会社、損害保険会社、信託銀行等において、ビジネスにおける将来のリスクや不確実性の分析、評価等を専門とする専門職のことである。当然アクチュアリーになるためには、「社団法人日本アクチュアリー会」が実施するアクチュアリー資格試験(数学、生保数理、年金数理等7科目)に合格しなければならないが。私は運良く、長男をあやしながら、昭和56年4月にアクチュアリーにさせてもらった。生命保険会社の場合、アクチュアリーが活躍する主な業務として、商品開発、リスク管理、決算業務、統計処理、投資運用、年金業務がある。まもなく到来する国際会計基準(IFRS)の導入に伴い、アクチュアリーの活躍する場面は益々広がっていると同時に高いスキルが一層求められるようになってきている。また、アクチュアリーという職業は、金融工学等に興味をもつ理系専攻を中心とする学生に人気が高まっている。加えて、最近企業のリスク管理面を中心に、ERMのいう学問研究分野が登場してきている。これに伴い、アクチュアリーの次なるステージを目指し、CERAという資格が日本でもまもなく誕生するだろう。さらに、東日本大震災を教訓に企業や学校等でアクチュアリーの責任は益々高まるだろう。

※ IFRS: International Financial Reporting Standards
※ CERA: Chartered Enterprise Risk Actuary
※ ERM: Enterprise Risk Management
→あらゆるリスクについて、評価、コントロール、活用、資金調達、モニタリングを行うことで、企業価値を高める手法